【否認】ゴーン前会長、「適正な会計処理と主張」

　日産自動車の有価証券報告書に役員報酬を過少記載したとして逮捕された同社前会長、カルロス・ゴーン容疑者（６４）が、東京地検特捜部の調べに「ケリー前代表取締役に適法な会計処理を頼んでいたので、問題はないと認識している」などと容疑を否認する供述をしていることが２７日、関係者への取材で明らかになった。

ゴーン前会長と共に逮捕された前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者（６２）も否認している。関係者によると、前会長は調べに、「弁護士であるケリー前代表取締役に適法にやってほしいと頼み、前代表取締役からも『適法な方法で会計処理する』と聞いていた」などと供述。退任後に受け取ることになっていた報酬は、有価証券報告書に記載する義務はないとの認識を示しているという。これに対し、特捜部は記載義務があったとみており、法解釈を巡る対立が激しくなりつつある。

一方、ゴーン前会長が、２００８年に私的な投資による損失約１７億円を日産に付け替えた疑いがあることも判明した。証券取引等監視委員会は当時、取引に関わった銀行への検査で把握し、前会長の行為が会社法違反（特別背任）などに当たる可能性があると指摘した模様だ。

日産関係者らによると、損失が発生したのは、前会長の資産管理会社が銀行との間で契約した通貨のデリバティブ（金融派生商品）取引。０８年のリーマン・ショックが損失の引き金となったという。
（出典：経済総合（毎日新聞））